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澤井

人垣

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何となく騒がしさを感じて、見ると暗い中に人垣ができていた。後ろから近寄ってみる。 人垣で何も見えない。5mほどの高さに浮上。人々は輪の中を見おろしながら何か言っている。 人垣の中に寝かされている自分。それを上から見ている自分。

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ポツリ。冷たい雨が頬にあたる。硬いところに寝かされている自分を見おろしている人がいる。

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ピーポーピーポー。救急車の音が頭上に貼りついて離れない。何故だろう。誰かに呼ばれた気がした。 「良かった。気がついた」との声。自宅の電話番号をたずねられた。相変わらず頭上に救急車の音が貼りついている。

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救急車の音は聞こえない。代わりに慌ただしく人が動き回っている。硬いベッドでどこかを移動しているらしい。

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男性の話し声。その度に顔がチクチクする。近くで「痛い!」と叫び声。顔に硬いものを押し付けられた。痛い。

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ゴーッ!。自分の大きないびきで目が覚めた。
狭いトンネルの中に寝かされたいる。 時々、鮮やかな色の不規則な形の縞が視野一杯に動き回る。MRI検査と後で知った。

再び幅の狭いベッドに移されて廊下を移動する。
「ここは何処?何故ここにいるの?」移動中、何度も何度も看護婦さんに尋ねた。

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移動先は手術室。男性医師が二人。 手術について説明された。先ほどの痛みは、壊れた顔の修復手術だと理解した。 しかし何故ここにいるのだろう

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救急車で搬送された日の記憶です

最終更新:17/08/16
新規掲載:04/08/20
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