澤井
月
生物、とくに動物は繰り返しを通じて学習をすると考えています。人にとって最大の繰り返しは採食です。自然の繰り返しで身近なのは脈拍・日周期・月周期ですね。 これらは比較的昔に学習したと考えられます。
学習しても自分で制御できない現象に人々は神を感じました。
多くの民族の神話ではその影響力の大きさからか、太陽を表す神様が中心です。 たとえばギリシャ神話のアポロン・日本神話の天照大神(アマテラスオオミカミと読みます)などです。 月はギリシャ神話のアルテミス・ローマ神話のダイアナのように狩猟と掛け持ちの神様がいる一方、 セレーンやルナのようにややくだけた神様にも対応しています。
古代の中東では月に対する信仰が強かったようです。月の始めには特別な祭祀がありました。 月始めは現在の太陽暦と異なり、月が欠けた後最初に見え始めたときでした。 中東に発したイスラム教を信仰する諸国の国旗に三日月があるのは新月信仰の名残と思います。
さて古代の新月の祭祀のためには、初めて出る月を見つけることが必要です。 そこで月を観測する係りが居て、新月を見つけたとき Karein と叫んで合図をしたそうです。 ひと月はこの合図とともに祈りで始まりました。
月の始まりの合図を calends と言います。Kareinと同じですね。 現在の暦を Calendar と呼ぶのは calends から来ているそうです(Webster's Dictionary より)
カレンダーといえば、たとえば Ocober を 10月と訳すように教わります。 しかし、Septem-, Octo-, Novem-, Decem- はそれぞれ 7, 8, 9, 10番目を表す言葉です。 Marchは行進を起こす意味もあって始まりを表します。
西洋人は太陽暦を採用しても言葉と時期の対応は変えなかったのですね。 言葉を大切にする文化がうかがえます。
追記 イスラム教では月だけを基準にして暦が進行します。 1年12か月は同じなので、イスラム暦の1年は太陽暦の1年より短くなります。 したがって、暦は季節と無関係です。
最終更新:17/08/26
新規掲載:04/08/12
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