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澤井

一葉の写真(−散歩道−)

熊さん:いつもカメラ持参でお出かけですか?
ご隠居:シャッターチャンスを逃さないために、大概持ち歩いている。
最初のカメラは吊金具が磨り切れた。使用中のカメラはシャッターボタンが磨り減ったよ。
白山からの月の出
白山からの月の出 北山町08/11/30

夜明けの白山
夜明けの白山 余田町10/05/17
熊さん:それでは、良い写真が沢山撮れたでしょうね。
ご隠居:構図とか色彩の感覚は並以下だし、ましてデフォルメする意思はない。 出会ったものをただ写しているだけだよ。
でも、狙って苦労して撮影したものもあるよ。右上の、2009年の年賀状に添えた写真だ。
熊さん:普通の月の出とどう違うの?
ご隠居:まず、前景が日本三名山の一つ、北陸を代表する白山。 この近所で白山が十分見える場所は限られている。 月の出る場所は毎日変動するので、その場所で白山から満月が出るチャンスは1年に2度しかない。 しかも、月が半分出てから出終わるまで1分。シャッターチャンスはその内約10秒。 つまり、年に 20秒しかチャンスがない。 そのチャンスに、白山に夕日が当っていれば山が綺麗に写る。 そのためには西およそ500kmが晴れている必要がある。
また、満月が綺麗に見えるためには東約500kmが晴れていなければならない。
滅多にないチャンスに体調よく撮影に出られる幸運も必要だ。
撮影しようと思い立ってから成功するまでおよそ5年掛かったね。
熊さん:撮影の苦労は分かったよ。 それで、見た人の反応は?
ご隠居:大部分は、ただの月の出と区別がつかない。 1部は日の出との区別さえもつかない。
日の出は太陽と周囲の明るさの差が極端に大きく、山が黒く写る(写真下)か、朝焼け空に太陽が輝いて写るからすぐ分かるはずだ。
ダイヤモンド富士を撮影した人は分かってくれたよ。
「上手く写真を合成したね」と写真の上手な人。これはショックだった。
熊さん:見る方はただ何気なく見ている。 撮る方は苦労しているんだね。
ご隠居:50年カメラと付き合って分かったことは、「カメラを持っていなければシャッターチャンスがない」と言うことだ。 しかし、カメラを持っていてもチャンスが活かせるとは限らない。
ドライブ中に熊が目の前を横断した。助手席のカメラを手にとる前に熊がいなくなったよ。

追記:北山町から見て、白山から満月が出るのは20年に1度程度。この写真は非常に貴重。
最終更新:17/08/15
新規掲載:10/05/17
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