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澤井

卯の花

 唱歌 夏は来ぬ 
卯の花の にほふ垣根に
時鳥 早も来鳴きて
忍び音もらす 夏は来ぬ

 右は青春を昭和時代に送った人には懐かしい歌です。では、卯の花はどんな花?どんな匂い?時鳥はなぜ時?

卯の花 : 種の名前ではありません。
 で始まる名前の花の意味です。 古人の婉曲な表現法で、「あの娘にの字」、「酒飲みをサ党」と同じ言い回しです。 具体的には、ウツギニシキウツギタニウツギ(下図)等を指します。 ここでウツギは「茎が中空(うつろ)の木」で、空木と書きました。 なお、ウツギはバラ目アジサイ科で、文字通り空木。他はマツムシソウ目スイカズラ科に分類されていて、茎は中空ではありません。
 ウツギ ニシキウツギ タニウツギ
 なお余談ですが、豆腐の絞り粕はそのままでは家畜の餌です。 しかし、豆乳の抜け殻(空)と考えて卯の花と呼ぶと、空の特徴を活かして多様な味付けに対応し、人間の食材になります。

 いろは歌 
色はにほへど 散りぬるを
我が世誰ぞ 常ならむ …
にほふ : 卯の花の名前を知った幼時、早速匂いを嗅いでみたが何も匂いませんでした。
 時が経って、にほふ は 匂うではないと気付きました。 にほふは、花が咲き誇る様を言うと考えるといろは歌も理解できます。
時鳥 : ホトトギスのこと
 時期が来れば鳴くからと言う説明が説得力があるようです。なお、種名の和文はカタカナ表記が普通です。 漢字表記はこのほか不如帰・杜鵑・子規など沢山あります。
 また、ホトトギスは見晴らしの利く高い木の頂上で鳴く鳥で、垣根に来て鳴くことはありません。 多分文学的表現なのでしょう。
最終更新:17/08/09
新規掲載:17/05/25
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